ついに就職活動も終盤。自分の進路が今・・・

1997.6/1

 小学館の志望書書きに追われる。おそらく明日の午後5時の〆切まで本社近くの喫茶店にいるでしょう。私以外にもたくさんいるはず。あちらこちらで同じ紙に向かって四苦八苦していると思うとなんだかニヤリとしていまう。「みんななんて書くんだろう?」ってね。質問項目に「嫌いな料理(調理法)」とか「嫌いな映画・TV番組」などと「嫌いな」シリーズのオンパレード。「好きな」ってのは書き慣れてるんだけど。個性はむしろ嫌悪感を持つものを見たほうが良く分かるのかな。少し自分の嫌いなものを整理してみようっと。ああ、でも時間が無い。それにしてもなんで「B5の原稿用紙」なんだよ。わざわざ買わなくては。まあ、書類のサイズを揃えたいってのは分かるんだけど。

1997.6/3

 11:30分、私は吉祥寺にいた。駅で日経を買いドトールへ入る。それを読みつつアイスカフェラテを飲む。 一通り目を通すと店を出て目的地へと急いだ。株式会社ナガセ本社、である。今日は最終面接、ゴールは近いが近いだけに落ちたことを考えるのが恐い。すでに残された持ち駒は少なく、残っているものも最難関と言われるような企業ばかりである。

 「副社長応接室」と書かれたドアの前に立ち、一呼吸してから横を見る。すでに見慣れた人事の方が目で合図をしてくれた。心持ち腕を高く上げ、ノックをした。「失礼します」、ゆっくり言うことだけを心がけた。

 面接開始。「現役で入ったの・・・受験科目は?」「えー、英・国・世界史です」。そこでされた質問は以下のようなものであった。インフラストラクチャの日本語訳、DNAの名称、2億かける1万は?、ナポレオンが死んだのは何世紀?、等々である。難なくかわす。私立大に入学したとはいえセンター試験で国公立も受験し、都立大の足切りを突破、埼玉大を合格したぐらいの点数は取った。取れるぐらいの勉強はしていたのだ。マスコミ受験を志していたのも幸いしたようである。つかみはOK、後は受け答えだ。

 「お父さんはなにをしているの?」「日本蕎麦屋です」。どうやら蕎麦が好きらしい。店の歴史や沿革を説明した。少し雑談をした後に終了。部屋を出ていこうとすると背後から声が・・・「お家は誰が継ぐの?」「弟が継ぐ意志を持っていますが、とりあえず大学に行きたいということで浪人中であります」「いやー、良い蕎麦屋は続いて欲しいからね」。あ、危ないところだった!そういえばどこかで自営業の父親を持つ人が「継がないの?」って聞かれて困っているという話しを聞いたことがある。帰宅すると電話が来ていた。おそらく、通過したのであろう。

 小学館の書類を提出しなくてはならない。ナガセの面接が終了したのがお昼。タイムリミットは17:30だ。すぐに神保町に移動してロッテリアに陣を張る。まだ志望書も完成しておらず、作文も手付かずだ。ほとんど諦めながら筆を進めた。「・・・でさ、ベッドで寝てたらテレビ見始めちゃってー」 ん、なんだなんだ? 隣の女子高生2人がなにやら話している。ひそひそ話というボリュームではない。

 女子高生A「その後、お風呂入ったんだけどー」
 女子高生B「え、やっちゃったあとぉー?」

 マンガだったら飲んでたコーラを吹き出してるところだ。動揺が筆に伝わり、紙に写されるべき頭の中の文章が歪んでいく。会話は延々と続いた。「えー、H美はBまでだってよ、遅いよねぇー」「お風呂入るときって電気消す?」「いや、消さないよ」「えー、恥ずかしくないー見られるとー」、・・・いい加減にしちくり。そしてとどめ、「やった後って顔見たくなくなるんだよねー」。ああ、もう我慢できん!心にダムはあるのかい?

そこに愛はあるのかい!?

※筆者注)当時は旬

 あのね、別に話すのはいいよ、女子高生(最近の、ではない。俺の知っている限り昔からこうだ)はそれぐらいのことはやってるさ。でもロッテリアで、人が周りにたくさんいるところでその話しはないだろう。ほんの数10センチ離れた場所にいるんだぞ。せめてひそひそ話にしてくれ、頼むから。

 小学館の書類を何とか仕上げて提出。すでに正規の〆切には間に合っていない。通用門からの提出である。大学名不問にもかかわらず大学の封筒で提出している人が結構いた。きっとチェックが入るんだろうけどね。次は集英社と講談社の志望書書きが待っている。気合入れ直さねば。あ、なんだか就職活動日記っぽくないな。別コーナーを立ち上げようかな、っと。


1997.6/4

 午前、毎日コミュニケーション筆記試験。午後、アステックのセミナー、が、参加せず。毎コミは以前に出席したセミナー当日に筆記試験があった。「新幹線に乗り遅れてしまう」という理由で今日受験したのだ。といっても私1人だけでの受験である。なんと寛容な会社だ。社内の雰囲気もよさそうである。その筆記試験の内容はというと、英語と国語、一般常識といったもの。英語はおそらく毎日新聞社で使われたものではないだろうか。国語は漢字の読み書き。一般常識は広く浅く、「首都」とか「語句説明」などであった。朝早かったせいか頭の回転が悪く、「イギリスの首相」という問題を解答できず。こんなんじゃダメだな、と諦めていたら通過の電話が・・・なぜ? ちなみに部活に向かう電車の中で思い出した答えは、「ブレア」だった。試験を終えてビルのロビーに行くと出版物が陳列してある。「PC fan」などのパソコン雑誌を休憩がてらに読み漁った。

 気合十分、アステックのセミナーに向かう。現在位置は九段下、目的地は神楽坂、歩いていける距離だ。「神保町も通過できるし、集英社の書類でも取りに行くかな」と歩いていると「すいません」と声をかけられた。うーん、おばちゃん。「ラッキー!」と内心では喜びながらも「なんですか?」と聞く。そう、アンケートの勧誘である。図書券がもらえたりJCBのギフトカードがもらえたりするやつだ。どうも謝礼は現金らしい。しかも1000円。「最近3ヶ月でアンケート等答えられたことございますか?」「いえ、何も・・・」、嘘ばっか。はっきりいって6回以上答えている。コーヒー・ビールの試飲にガムの試食、新製品のパッケージの感想などなど、ちょっとしたバイトだ。新しく出た「コカコーラ・ライト」のデザインについて酷評したものだが、しっかりそのままのデザインで販売が始まった。俺は前の絵柄が好きなんだけど。今回のはCCレモンとそのCMについて。無難にこなし1000円をゲット。助かるねぇ。

 雨が降ってきた。受け取ったばかりの集英社の書類が濡れる。この書類は私を憂鬱な気持ちにさせた。「スピード写真不可」の注意書きがその原因である。今までずーっとスピード写真。だいたいどうやってスピード写真とネガの写真を見分けるんだか。


1997.6/5

 ナガセ内々定通知。本社に出向くことになった。最終面接がなかなかトリッキーだったのだが、「あれは君たちがかぶってる鎧をはがすためだよ」といわれる。ということははがれ方によっては落とされていたのね。そして目の前に出された誓約書。「今活動している企業には断りの電話を入れて下さい」というお約束のお言葉。にこやかに「はい」といっておきながら面従腹背、若干顔がひきつる。きっと分かってるんだろうなー。最後に「よろしくお願いします」と握手したけど、握り返す手に力が入らなかったよ。第一志望グループだから嬉しいことは嬉しい。ただ「わーい!」と手放しで活動終了を宣言するにはちょっと・・・。このホームページのアドレスを企業に教えていなのでこんなことも書ける。これを読んでいる就職活動中のウェブマスタの人は要注意。来年活動する予定の人もね。

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