「吹奏楽部の1日」へサイトのトップページへ

*ゴーストタウン-1997/6/01-

 南大沢文化会館にて外部練習。某高校の音楽会のための特別練習だ。ひたすらポップスをやる。まず合奏1曲目、「カーペンターズ・フォー・エヴァー」体力激減。2曲目、「ジャングルファンタジー」横隔膜疲労。3曲目、「ウイ・アー・オール・アローン」うーん、良い曲だ。4曲目「オブラディ・オブラダ」かんべんしちくり。5曲目、「スパイ大作戦のテーマ」降りてて良かった。帰りはもう放心状態。大量の息を吸って吐いたせいか腹筋がヘロヘロになっていた。関係ないが、この南大沢という場所は次々にショッピングセンターが閉鎖されるという寂しい場所なのである。東京都立大学の最寄り駅なのだが、ゴーストタウンと化しつつある。これも住都公団の分譲が思うようにいかなかったからだ。南大沢という駅は新宿まで1時間がかからないという至極便利な場所なのだが、その利点を数多くの欠点が潰してしまっているようである。おお、話しが外れた。ただホール自体は練習にはもってこい。ただ快適すぎて休憩が長くなるんだよね。


*ウォームダウン?-1997/6/06-

 明日は本番、某高校の音楽会だ。朝の集合は8時。はっきりいってきつい。なんせ今日だってアホのように吹きまくったのだから。ゲネプロだったんですよ。後輩達に「きちんとクールダウンしといてね」って言うの忘れた~。演奏会はあくまで通過点で練習の一環なんだから、口を壊すような吹き方はまずいね。疲れが溜まる一方だもの。クールダウンがうまい人、ウォームアップがうまい人っていうのはその点で特だ。同じ練習時間でより先に進むことができる。そういえば「ウォームダウン」というふうに間違えていってる人がいるなぁ。まあ俺もよく間違えるけど。「大団円」を「大円団」だと思っていたものね、最近まで。


*解放記念日-1997/6/07-

 某高校音楽会。開始とともに万雷の拍手と声援。入場のたびに湧き起こるどよめき。この高校は男子校ゆえ女の子が入ってくるとボリュームが跳ね上がる。圧倒されながら演奏をする。「この感じ、まるで高校時代の文化祭だな」と頭を過ぎる思い出。ちょうど校舎の改築中の在学だったので体育館が無く、近くの公会堂で学園祭をしていたのだ。ホールで行う演劇・音楽部門を「竹の子祭」、校舎で行う模擬店・学芸展示部門を「竹早祭」と呼称、そのときもこんなノリだった。はしゃいではいるが決して斜に構えているわけではない。良い学校だ。演奏も気合いが入る。第一部はクラシックが中心ということもあって若干おとなしめ。反応は悪くない。そして第二部・ポップスステージ。日頃の鬱憤を晴らすかのように吹きまくる。「温かい音」「柔らかい音」などといっている場合ではない。「パッションのある音」これに尽きる。「スパイ大作戦」でつかみ、「オブラディ・オブラダ」で引き寄せ、「ジャングルファンタジー」で爆発。「ウィ・アー・オール・アローン」でしっとり、そして大トリの「カーペンターズ・フォー・エヴァー」。60人の想いが音に乗り、ホールを駆け巡る。そこにあるのはまさに音楽そのものだ。サクラを必要とせずにアンコールの拍手。本気・マジは伝わる。アンコール、「プラウド・メアリー」と「ヴェガス」を続けて演奏。もうサウンドはビックバンド、吹いて吹いて吹きまくる。音楽に携わっていることを感謝し、良いお客さんに恵まれたことに涙する。これだから、楽器はやめられない。寝れなくても、金無くても、単位無くても・・・


*本音-1997/6/13-

 演奏旅行に向けての練習がいよいよ本格的になってきた。しかし一年生がまだバンドに馴染んでいない。例年こんなものだっただろうか。とにかく音が悪い。しなやかさのかけらも無いのだ。昔の定期演奏会のCDを聞いて「あの頃は良かったのぉ」などとしみじみしてしまうのは我ながら情けない。頑張らねば。でも個人的には楽しいんだよね、音楽するのが。すべてをぶつける行為が。個性を表象化することと合奏という形態とのジレンマが良い意味でたまらないね。アドレナリンが出ちゃうよ。なかにはいらついて音楽をしている人もいる。一緒に良いものを創りあげようという気持ちが足らない人に囲まれちゃってる人ね。でも技術が足らなくてそうなってしまうのはまだいい。未来がある。未来が無いのは「音楽する心」に欠ける人だ。カラオケに行っても熱唱しないのと同じ。好きでやってるんだからもう少し熱くなってもいいのに。とはいえ「好きでやってるんだからいいじゃん」なんて言ってプレイヤーとしての義務を果たしてない人は最低だ。うちの部にはいないと信じてるけど。いや、信じたいね。


*我が部の弱点-1997/6/20-

 台風接近にて本日の活動は中止。23日にジョイントコンサートという本番を控えた我々にとっては最悪の結果だ。あー、もう、先週も練習場所が確保できずに1回練習少ないのに。それの穴埋めに練習時間延長してやってきたというのに。ちなみに我が部には緊急連絡網なるものは存在しないので、あたかもインターネットのごとく情報が伝わっている模様。連絡着かなかった人は茫漠とした練習場を見て愕然とするんだろうな。ま、練習場所といっても屋外だけどね。台風が来て練習が中止になるってのは他の部ではどうなんだろう? 練習が無いと自由時間が増えるのだけれど、「ラッキー」とは思わない。楽器を吹いたり仲間に会うのは楽しいからね。しかし直撃とは・・・


*全員バンダ-1997/6/21-

 台風一過、日が照りつける中での練習。しかもなぜか椅子が足らず立ちっぱなし。基礎合奏のときになってもトロンボーンはほとんどの人が立奏。全員バンダ状態である。ついに今年の自由曲、バレエ音楽「青銅の騎士」の合奏を行った。北海道演奏旅行でも演目として掲げているのであまり日程に余裕はない。マイナーな曲だから知らない人が多いでしょうが、これがなかなかの秀作。感動できますよ、きっと。今年の全国大会は所沢ですので関東近郊の人はぜひ聞いてみて下さい。全国までいけるかどうかは、ま、置いといて。


*飲みと楽器-1997/6/23-

 ジョイントコンサート本番。音楽研究会という我が部の上部組織に所属する音楽団体が一堂に会する演奏会である。たとえばオーケストラとかマンドリンとか混声合唱とか。時は6月、一年生にとっては入部して初めての本番となる。私たちにとっては、一年生の音が果たして現時点でブレンドされているかどうかの試金石でもあるのだ。演奏そのものは熱かった。ただ熱いだけでなく音もなかなか良かったのではないだろうか。ただ疲労は激しかった。音楽は生産活動であるから、当然体力を消耗する。テンションを上げて臨むので精神的なダメージも馬鹿にならない。結果として帰る頃には貧血気味でローテンション、ということになってしまうことが多い。「終わった! うぉー、飲むぜ!!」というのは無理していることも多い。ノリでいってしまってさらに疲労が蓄積し、はじけてしまう。今日はまっすぐ帰って来たが、昔はこうじゃなかった。やっぱりもう若くないんだろうか。それともすべてを出し切る演奏ができるようになったのだろうか・・・


*フルトヴェングラー-1997/6/25-

 レッスンの日。先生が振ると音が変わる。こればかりは仕方が無い。それで飯を食っているのだから。ベルリンフィルも、かのフルトヴェングラーが練習場に入ってきただけで音が変わったという。ちなみに今日は風邪っぴき。少しでも力を入れると咳き込みそうな状態である。まず最初は「天国と地獄」。まさに地獄であった。私は1stでトップ、楽に吹くのにも限界がある。お花畑が見えそうになりながらも何とか乗り切る。次に「スパルタクス」。これは2nd。だがこの曲は激しく吹きまくる箇所のオンパレード。良い音のスネアが激しく刻むリズムを聴くともう止まらない。体調なんか忘れて吹きまくる。終わった後に臨死体験。そしてとどめ、「青銅の騎士」。「展覧会の絵」「1812」に似た感じの「偉大なる都市への賛歌」を吹き終わった頃には貧血と酸欠のダブルパンチ。ヘロヘロになりながらもなぜか出る音は調子が良い。なるべく体に負担をかけない吹き方をしているからだろうか。とにかく疲れた。もう寝ます、ぐう。


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